鼻形成はヒアルロン酸でどの程度できるのか?
今回はヒアルロン酸注入による鼻形成のお話です。世界の美容施術の統計(2017年版)によると、世界平均では100人の人が美容の施術を受けると44人が外科的な手術を選択するのに対して日本では僅か15人しか手術を受けないことが報告されました。一方、ヒアルロン酸の注入になると日本は世界の中で第2位の施術件数をほこり、2017年度には45万人が施術を受けたそうです。ダウンタイムが短く手軽な上に万が一自分のイメージと違っていたら元に戻すことが可能なため、慎重な日本人に受けているのだと思います。
ただ、鼻形成術に関してはヒアルロン酸注入は手術に絶対勝てません。
そのため、どうしても手術が怖い(((;゚;Д;゚;)))、
でも鼻を何とかしたい ٩( ‘ω’ )و
といった人向けの治療になります。ヒアルロン酸でどこまで鼻を変えることができるのか、見ていきましょう。
20代の女性のモニター様です。施術前の写真です。↓
鼻背部と鼻尖部を高くして鼻すじがでるようにしてほしいというご要望でした。
ヒアルロン酸で隆鼻術を行う場合は鼻骨の上(指で押さえてもへこまない部分)であればある程度高さを出すことができるのですが、軟骨の上(指で押さえるとへこむ部分)は軟らかいのであまり高さを出すことができないという欠点があります。そうすると、鼻根部は高くなるけど、鼻先はそのままの高さになるため、バランスがおかしくなり違和感のある鼻になってしまいます。以前ご紹介した鼻柱隔延長を行った患者様はまさにこのパターンでした。この患者様にはそのあたりのこともご説明して、なるべく自然な印象になるように鼻根部から鼻尖上部あたりまでヒアルロン酸を注入しました。
施術前と施術から6週間後の写真をお見せします。↓
斜位でみるとすらっとした鼻になりとてもきれいになっています。ところが、真横から見た写真では睫毛の位置より頭側も鼻が高くなっており、ややアバター変形(映画アバターにでてくるキャラクターの特徴的な鼻の形に由来)しています。一般的に目をあけたときのうわまぶたの位置(うわまぶたの睫毛の位置)が一番低いのがバランスのよい鼻とされています。ヒアルロン酸による隆鼻術はこれが欠点の一つではないかと思います。この程度のアバター変形は問題ないと思っていただける患者様が大部分ですが、ヒアルロン酸で「もっと高くしてほしい」となると、頭側にもヒアルロン酸は少し広がるのでアバター変形が強くなることがあります。
次に、ヒアルロン酸注入前、注入から6週間後、この6週後のときの再注入直後の写真です。↓ 追加注入は鼻の下半分から鼻先までと鼻柱部に行いました。やはり鼻根部から鼻背部が高くなれば鼻尖部も高くしたくなります。
斜めの写真をみると全体的に鼻が高くなりさらにすっきりした印象になっているのが分かると思います。ただし、ヒアルロン酸を注入したにもかかわらず、鼻尖部(2つの紫矢印の真ん中あたり)の形は変わっていませんよね。ヒアルロン酸は基本軟らかいので鼻尖部の皮膚が相当軟らかいか、軟骨が硬い人でない限り、残念ながら尖らすことは難しいのです。この鼻先の変化をだすのが手術に到底勝てない部分です。ただ、二つの紫の矢印の部分がヒアルロン酸注入により前に出ているので、斜めからみたら鼻先が高くなった印象を与えてはいます。
7か月後の経過はどうでしょうか?↓
効果が良く保たれていますが、鼻尖部周囲は少し吸収が進んでいるようです。
最後に治療前の写真ともっとも鼻が高くなっている写真を比較して終わりにします。↓
正面からの写真ではもともと少し鼻が曲がっていたのですが、曲がりが目立たなくなるように注入しています。注射だけで少し目立たなくできるところが、ヒアルロン酸の利点です。
一方、鼻根部の状態ですが、鼻すじが上の方まででた反面、やや太くなっていると思います。これはヒアルロン酸の欠点になります。ヒアルロン酸はどんな種類のものをつかってもかならず少し横に広がるのでそれも考慮しながら注入することが大切です。
手術ほど劇的な変化は出せないし、欠点もいくつかありますが、この手軽さと短いダウンタイムでこれぐらいの変化がだせれば、なかなか良いのではないかと思います。
服を着替えるように鼻の形をちょっとイメチェンでき、また溶解することで元に戻すこともできるなんてほんとうに便利な世の中になったもんです。20代の方が施術を希望されるケースが多いですが、自分が20代の医学生(20数年前)のときにはまったく想像がつかない治療でちょっとうらやましいですね。
料金とリスク
- 料金(税込):ヒアルロン酸注射(ジュビダームビスタ ウルトラプラス)0.5cc 56,100円
- リスク:わずかな腫れ、内出血、1週間程度わずかな凹凸がでる可能性、針穴の赤み、動脈塞栓、動脈閉塞